2004-09-20 (Mon)
"表層の表現はけっして枝葉末節ではない・・・" (乱タその2)
![]() | 文学的商品学 (2004/02/18) 斎藤 美奈子 商品詳細 |
今年の2月に発刊され5月の連休前に購入していたんだけど忙しくてなかなか読めなかった本をようやく読破しましたです。
それは斎藤美奈子氏の「文学的商品学」
発刊直後は平台に積んでいる本屋さんも目についたことから、けっこう読まれている本だと思いますが私的にも☆4つさしあげたくなる本でした。
およそ文芸評論的ジャンルの本は往々にして、めんどい小理屈積み重ね砂上楼閣的、あるいは、ほんまに作者はそこまで考えて書いたんかいなという屋上屋根を重ね的、憶測心理分析的な睡眠誘導素材本が多いんですがこの本はちゃいました。
この本、まぁあざといっつうか切り口の新鮮さもあるのですが、内容的には誰にでもわかりやすい、たとえば食べ物とかファッションとかの作品中の大衆消費物・サービスに対する小説作者の表現事実の観察を通して、対象とした作品全体の良否を評論断罪しているわけではないのですがその細部表現を分析することで作者のプロフィルの一端をあぶり出すとともに小説全体への細部表現の重みみたいなものをうかがわせてくれます。
その語り口も重くなくきわめて軽妙洒脱ですから、この本のまな板に乗っている小説を思わず「おっ、一度読んでみようかしらん」なんて思わせるパワーが大なんではないかと思いましたです。
斎藤美奈子氏は巻頭文で「・・・神は細部に宿るといいますが、小説のおもしろさも細部に宿っています。・・・云々」、また巻末で「・・・なぜ「書くこと」で人は困難を乗り越えられるのか、感情をぶつけられるからではなく、冷静に客観的に自己と周囲を観察する機会になるからじゃないかな。その意味でも、表層の表現はけっして枝葉末節ではないのです。」と結んでいますがこのお言葉には諸手をあげて賛同したい私でございます。
私的には、文芸評論は何よりもその題材とした本を読ませることが大切と思ってるんで。そんな意味でもおすすめの本です。この本、誰にもわかりやすい現象学論的評論手法の大成功例かも・・・。
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