2004-11-29 (Mon)

「小体(こてい)な本屋」

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ちょっと前のことなんだけど思いがけず久しぶりに素敵な本屋さんを見つけてしまった。

僕の家は、私鉄A線とB線のちょうど中間ゾーンにあって、いずれの最寄り駅からもバスに10分ほど乗らなくてはいけないちょっと不便な所に住んでいる。
ほとんどの場合、僕はバスの本数が多い馴染みのA線駅を利用しているんだけれど、最近は仕事先との打合せ場所がB線を利用したほうが便利なことからB線駅に出ることが多くなっていた。
いつもは乗換えの中継点に過ぎない駅なんだけど、たまたまその時はバスを降りた直後に打合せの時間を1時間遅くしてくれないかとの連絡が入って、僕は何となくこの駅の周りをぶらぶらすることで時間つぶしをしてみることにしたんだ。

ちょっと小洒落た新興住宅地を後背にしたこの駅の周辺は、再開発されてからかなりモダンな佇まいを見せている。流通系の大規模な商業ビルが駅前を取り囲み、バス乗り場を覆うように立体回廊になっているデッキプロムナード状の駅前広場は平日の午後2時という中途半端な時間でも近郊の主婦めいた人たちでかなりの賑わいを見せていた。
僕は別に買い物をするわけでもないし、天気も爽やかだったからこの広場をぶらぶらと一周することにしたんだけれど、この広場のはずれにさしかかった時、1階に銀行が入ったビルの前に大きく「本」とだけ書かれたスタンディングボードが置かれているのを見つけたんだ。

僕にとって本屋さんで時間つぶしをすることは昔から一種の趣味みたいなもので、本屋さんを発見した以上、もう無条件にその看板に引き寄せられていた。近づいてみるとその本屋はめずらしいことに地下にあった。階段を降りてその本屋さんに足を踏み入れ、入り口近くの平台を見たた瞬間、僕は、これは久しぶりに大当たりと思わずつぶやいてしまったんだ。
広さも蔵書量も、そして品揃えのセンスもまさに僕好み!まさに「う〜ん、お主できるな」って感じだった。

およそ僕は、ただ平面積が広いだけ、品揃えの主張もなく量が多いだけ、人ごみラッシュ状態の大型書店は大嫌いなんだけどこの本屋さんは違っていた。店主なのか店員さんの趣味嗜好なのかはわからないけど、あきらかにこの本屋さんが良いと思う本、客に手に取らせたいという本が、雑誌でも単行本でも見事に平台、書架の中で主張しているかのように配置されていた。せいぜい20坪位の小さなスペースなのに実に小粋で豊かな品揃えを見せていた。その時はたまたまシブいことにユリイカのバックナンバーの平台特集もあって、でも単なるバックナンバー特集ではなく、その周りにはいかにも関連して「読みたい、見たい」をそそるような詩集とか写真集がさりげなくセレクトされていた。
美術館にはキュレイターという尊敬できる職種があるけれど、この本屋の品揃えをした人にはさしづめブック・キュレイターという称号をさしあげたいし、そんな人たちが増えれば本屋さんはもっともっと面白くなるだろうなって思った。

 いずれにしてもこのA書店は、久しぶりに僕の本屋さんランキングを塗り替えた「小体な本屋」だった。

※ちなみに大型書店でも僕の行動範囲の中で好きな書店はある。それは、東京なら渋谷の「ブックファースト」、でも大阪梅田「旭屋書店本店」の凝縮感には負けるけどね(笑)

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